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アルコール依存症とは?

☆ お酒で困ること(アルコール関連問題)とは?

 

 飲酒によって生じる、あらゆる健康や社会問題などをまとめて「アルコール関連問題」と言います。

 飲酒により身体や心の病気はもとより、家族の不和、失業問題、交通災害、労働災害、さらには犯罪、自殺などが含まれます。このような問題の中心にあるのは、飲酒に対するコントロールの障害です。その究極の姿がアルコール依存症と言えます。

☆ アルコール依存症とは?

 ●自分が悩み、周囲を悩ます飲酒は病気です

 アルコール依存症とは、心や体の健康や社会生活を営む上で、明らかに差し障りになるにもかかわらず、飲酒の抑制ができず、飲酒にまつわる問題行動を繰り返す病気です。

 インドやアラブの禁酒国とは異なり、我が国のように、飲酒を生活習慣として取り入れている社会では、飲酒すること自体を問題とはしません。その代わり、私たちの社会では、誰もが知っている飲酒に関する暗黙のルールが存在しています。

 ●解っているのに適切な飲み方に変えられないのは病気です

 解っているにもかかわらず、世間が認めるルールから外れた飲酒をくり返し、その行動をルールにのっとった飲み方に変えられないのは病気です。
(例…仕事に出かける前に一杯飲む、二日酔いで欠勤を繰り返す、飲酒すると記憶が飛ぶ、医師から止められているのに隠れて飲む など)

 若者から高齢者まで、男性も女性も、金持ちでも貧乏でも、職業にも関係なく、お酒を飲む人なら誰もに起こる可能性のある病気です。飲酒を続ける中で、身体がアルコールを必要とする体質に変化していき、止めようと思っても止められない状態になります。「アルコール(飲酒)のコントロール障害」

 ●アルコール依存症は慢性の進行性の病気です

 徐々に飲み方が変化する中で、身体的・精神的健康を失い、さらに人間関係や社会的信頼を壊していき、ついには死に至る病気です。

 飲み始めた頃は普通の飲み方であったのに、いつの間にか休日には朝から、昼間から飲むようになり、次第に飲酒以外に興味がなくなり、心の自由が奪われ(精神依存)、さらに身体の自由が奪われる病気です(身体依存)。自由を奪われるにつれ、信用を失い、家族を失い、仕事を失い、健康を失っていきます。

 精神依存の状態になると、「酒を止めるくらいなら死んだ方がマシ」「酒を飲まなくては仕事にならない」「酒を飲んで死んだら本望だ」等の言動や、最初の一杯からのがぶ飲み(貪欲飲酒)、朝酒・迎え酒、食事をせずに飲む、記憶が飛ぶ、飲み出したら止まらないなどの、異常飲酒行動が現れます。

 身体依存の段階になると、アルコールが身体から抜ける時に起こる「離脱症状」(禁断症状)が出現します。不眠、大量の発汗・寝汗、手や身体のふるえ、食欲不振、動悸、悪夢、むかつき、けいれん発作、幻覚、妄想など、人により、その時の状況により様々なものが出現します。

 ●病気が進むにつれて、「否認」が強まる病気です

 飲酒の虜になればなるほど、飲酒問題に対するガードを堅くします。それは、酒を止めることや止めさせられることへの不安、苦痛、展望の無さ等への防御なのです。その反面、こんなことをしていてはだめだ、身の破滅だとの思いを持っていて、心は揺れ動いています。「感情・思考のコントロール障害」

 ●家族や関係者を巻き込む病気です

 飲酒の虜になるにつれ、他のことに段々関心も興味も示さなくなり、飲酒のためには平気でうそをつき、周囲に怒りの感情を巻き起こし、次第に人間関係が悪化します。しかも、酔っ払った上での言動の記憶がない(ブラックアウト)場合が多く、シラフで付き合う周囲の人々は余計に感情を逆なでされます。

 飲酒の問題は、当の本人よりも家族や秀老いの人々が先に気づくことが多く、また、本人は酒を取り上げられることへの抵抗も強いため、なかなか問題への自覚を持てません。家族は次第に飲む・飲まないに一喜一憂し、本人がお酒を飲まないよう管理する事ばかりに目を奪われます。しかし、この病気なお酒を取り上げられたり、隠されたりされればされるほど飲酒したくなるのです。「対人関係のコントロール障害」

 ●アルコールの問題解決には、専門医療の手助けが必要です

 回復のためには正しい病医の知識や治療の時期に応じた援助が必要です。

 慢性の病気でもあり、回復にも多くの時間と様々な援助、手助けを必要とします。しかも、本人だけでなく、家族や関係者の治療への参加を必要とします。したがって、アルコール関連問題の治療には、アルコール専門医療機関への受診が必要不可欠です。

 本人に受診の意志がない場合でも、まずは家族が医療機関に相談し、病気の正しい知識を身につけることも必要です。

 

 

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